菊池寛実記念 智美術館

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「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」

  前期:2024年4月20日(土)~6月23日(日)
  後期:2024年7月5日(金)~9月1日(日) 
※前期、後期の各期内にも展示替えをいたします。

The Sodeisha Group: An Era Born Out of Avant-garde Ceramics
Part I:April 20- June 23, 2024
Part II:July 5- September 1, 2024
*Some exhibits will be rehung within Parts I and II too.

画像をクリックするとフライヤーの裏面をご覧いただけます。

 本展は、前衛陶芸家集団として戦後日本の陶芸を牽引した走泥社(そうでいしゃ)の活動を検証する展覧会です。走泥社は1948年に京都の陶芸家、八木一夫、叶哲夫、山田光(ひかる)、松井美介(よしすけ)、鈴木治の5人で結成されました。同人は入れ替わりながらも陶芸家に限らない多様な人材が集まり、50年にわたり活動を続けます。いわゆる器ではなく、立体造形として芸術性を追求した陶芸作品を創り出し、その視点を日本の陶芸に根付かせたことは走泥社の功績といえるでしょう。当時、それは「オブジェ焼」と呼ばれました。
 走泥社の前衛性は特に活動期間の前半に認められることから、本展では結成25周年となる1973年までに焦点をあて、25年の間に同人であった42名のうち作品が残る32名の制作を通し、走泥社の活動をご覧いただきます。また、資料等により同時期に展開された他の前衛陶芸活動や日本の陶芸に影響を与えた海外の制作をご紹介し、その比較も交えて、前衛陶芸が生まれた時代を振り返ります。
 なお、本巡回展は3章で構成する展覧会ですが、当館では1章と2章を前期、3章を後期として会期中に展示替えを行います。

《前期》 走泥社結成から「オブジェ焼」の誕生とその展開

前期

1章

 器の形態を立体造形として自立させようと模索する走泥社最初期の作品を紹介します。この時期の制作には、中国や朝鮮半島の陶磁器にもとづく様式や技術を基盤にしつつ、器体をカンバスに見立てたようなパブロ・ピカソの陶器や絵画、イサム・ノグチのテラコッタをはじめとする同時代の美術表現からの影響が見受けられます。陶芸界の伝統的な規範から離れ、絵画的な文様表現で自身の抱くイメージを現し、あるいは、陶磁器が持つ造形上の要素を現代の造形に昇華させようとした点に走泥社の前衛意識が窺えます。

  • 鈴木治 《ロンド》 1950年
    華道家元池坊総務所
  • 山田光 《二つの口の壺》 1952年
    岐阜県現代陶芸美術館
  • 八木一夫 《ザムザ氏の散歩》 1954年
    京都国立近代美術館

2章

 現在では陶のオブジェとは一般的に実用性のない陶の造形作品を指しますが、当時は造形を通じた心象風景の表象と捉えられていました。二章では、前衛陶芸家たちが作者の内面性を表現する陶芸の在り方に創作の可能性を見出し、そのような制作が根付いていった時期の作品を紹介します。走泥社以外で活動していた有力な陶芸家たちが同人として合流し、それぞれの陶芸観にもとづく制作によって多様性ある前衛陶芸家集団として走泥社の骨格が定まっていった時期でもあります。

  • 山田光 《二つの塔》 1959年
    和歌山県立近代美術館
  • 鈴木治 《土偶》 1963年
    京都国立近代美術館
  • 藤本能道 《日蝕》 1957年
    京都市立芸術大学芸術資料館
《後期》 「現代国際陶芸展」以降の走泥社

後期

3章

 1964年に開催された「現代国際陶芸展」で海外の陶芸表現が初めてまとまった形で紹介されると、伝統や素材、技術の捉え方の違いから生じる異なる陶芸表現に日本の美術・陶芸界は衝撃を受け、動揺します。そして自己の創作を検証することで、心象風景の表象として始まった陶のオブジェが、前衛性を求めるだけでなく個々人の造形表現としての成熟へと向かっていきました。三章では、海外の制作が盛んに紹介される中、草創期からのメンバーと次世代の若手作家とが併存し、多様な造形表現が為されるようになった充実期の作品を紹介します。

  • 鈴木治 《馬》 1971年
    京都国立近代美術館
  • 八木一夫 《頁1》 1971年
    岐阜県現代陶芸美術館
  • 山田光 《1の周辺》 1976年
    岐阜県現代陶芸美術館
  • 宮永理吉 《パイプ》 1972年
    広島県立美術館
  • 林康夫 《ホットケーキ》 1971年
    和歌山県立近代美術館
  • 三輪龍作(龍氣生/十二代休雪)
    《愛の為に》 1968年
    国立工芸館

走泥社 名前の由来

「走泥社」とは中国の均窯の釉にみられる「蚯蚓走泥文(きゅういんそうでいもん)」から名付けられました。
蚯蚓(ミミズ)が泥を這った跡にたとえられる、曲がりくねった線状の模様が特徴です。

展覧会概要

会期
 前期:2024年4月20日(土)~6月23日(日)
 後期:2024年7月5日(金)~9月1日(日)
※前期、後期の各期内にも展示替えをいたします。
休館日
毎週月曜日(ただし4月29日、5月6日、7月15日、8月12日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)、7月16日(火)、8月13日(火)、展示替え期間
展示替えに伴う休館期間 
During rehanging of the exhibition

以下の期間は休館し、展示替えを行います。前期と後期の展示替えの他、各期内にも展示替えをいたします。
5月27日(月)~5月30日(木)
6月24日(月)~7月4日(木)
7月29日(月)~8月1日(木)
開館時間
11:00~18:00  ※入館は17:30まで
観覧料
通常券 一般1,100円/大学生800円/小中高生500円
2回券 一般1,700円/大学生1,300円/小・中・高生800円
ぐるっとパス
ぐるっとパス参加館(パスの掲示で無料入場)
2024東京・ミューアムぐるっとパス
主催
公益財団法人 菊池美術財団、日本経済新聞社
協賛
株式会社南悠商社、京葉ガス株式会社
特別協力
国立工芸館
企画協力
京都新聞